K二丁目

本の感想と、日常と。

賢いギバー

 

 

『GIVE & TAKE』(2014/アダム・グラント)を読んだ。

 

 

 

▼アダム・グラント

ペンシルバニア大学ウォートン校教授。組織心理学者。1981年生まれ。同大学史上最年少の終身教授。『フォーチュン』誌の「世界でもっとも優秀な40歳以下の教授40人」、『ビジネスウィーク』誌の「Favorite Professors」に選ばれるなど、受賞歴多数。「グーグル」「IBM」「ゴールドマンサックス」などの一流企業や組織で、コンサルティングおよび講演活動も精力的に行う。(本書より)

 

 

人間関係において、人は基本的に三種類のタイプに分けられるという。「ギバー」、「テイカー」、そして「マッチャー」だ。ギバーは他人を中心に考えて、相手が何を求めているかに注意を払う。テイカーは自分を中心に物事を考える。

 

 

マッチャーはというと、公平という観点を重視し、与えることと受け取ることのバランスをとろうとする人だ。すなわち、ギブアンドテイクで行動する人のことを言う。そして、多くの人はマッチャーに属している。

 

 

アダム・グラントの調査によれば、最も不利益を被っているタイプはギバーなのだそうだ。いわゆるお人好しで、人から都合のいいように利用されやすい。短期的にみれば、テイカーやマッチャーのほうが大きな利益を得ている。

 

 

ただ、最も成功や幸福を掴んでいる人もまた、ギバーなのである。

 

 

ギバーは他者に惜しみなく与える。それが助言であれ、人の紹介であれ、相手にとって良いことを行動に移すのである。そしてそれは他の者にも影響を及ぼし、その人のコミュニティに変化をもたらす。長期的にみると、ギバーは組織力の向上に大きな影響を与え、そして正しく評価されたギバーは称賛される。「情けは人のためならず」とあるように、何かを与えたその人からの直接の見返りでなくとも、後で大きな見返りを得ることになるのだ。

 

 

とはいっても、多くの人がマッチャーとしての行動を振舞うのは、「正直者が馬鹿をみる」ことがあるからだろう。ギバーは、テイカーに食い物にされてしまう場合がある。テイカーは打算的で自分の利益を優先するから、自分の周りにギバーがいれば、利用してやろうと考えるのだ。そうなったギバーは、その分自分に費やす時間が減り、成果も低下し、周りからも正しい評価が得られず、不遇をうけることになる。どうすればテイカーから身を守ることができるだろうか。

 

 

本書では以下のように言っている。

 

 

テイカーとつき合うときには、マッチャーになればいいのだ。ただし、最初はギバーでいたほうがよいだろう。信頼は築くことこそ難しいが、壊すのは簡単だからだ。それでも、相手が明らかにテイカーとして行動したら、ギバー、マッチャー、テイカーの三タイプを使い分け、ぴったりの戦略をとるのが得策だろう。”

 

 

 

人に何かをしてあげたとき、喜ぶ姿をみると、自然に自分もうれしい気持ちになる。賢いギバーとして、人生をまっとうしたいものだ。